夢は、もうおしまい。
ああ、もう終りだな、と思った。
そう思った途端、呼吸は一気に楽になったけど、吸い込んだ酸素は、どうやら喉もとに何か塊があるらしいが、結局身体に行き渡る事はなかった。あれれ、結局息は苦しいだけなんだぜ。そう一人笑ってみても、笑い声はくぐもって大気中で分離した。部屋の空気は橙色で、身を潜ませるのには丁度いい。光は緊張を生み、闇は恐怖を生む。一番優しいのは、橙色のこの時間帯だ。白から、きんいろ、そして橙色から闇へ。幾度となく訪れた、光の変遷。もうちょっと、もうちょっとだけ隠してほしいんだぜ。この涙でぐしゃぐしゃになって、それでも奇妙な笑いを止める事が出来ない顔を。ひゅう、ひゅうと二酸化炭素と酸素の出し入れ。C+O2→CO2 炭素は何処なんだろう。この体の中の炭素と鼻から入った酸素が結合して。だから今二酸化炭素を吐いている。胸がどうしようもなく苦しくて、熱いのも、きっと燃えてるせいに違いない。燃えて、いっそ身体も燃やしてほしいんだぜ。橙色が闇に変わり始めた。高い崖の花は光の先にあるだろう。深い森にいる嘘つきは、闇にいるのが相応しい?君は、森を抜けてしまった。仕方ないなぁ。もう君は一人で、いくんだぜ。花を携えて、行くんだぜ。深い森の自分は、橙色に燃えるんだぜ。煤けて、灰になって、それでおしまい。
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